

グルーバーレザーで使われているシュリンクレザーは、 トスカーナ地方ので作られたバケッタ製法の革です。 特徴として、日本でも小さな工場にこそ技術が詰まっているように、 ここでは縛られる事なく、ただひたすら より良い革を作り上げる為に革と向き合う 極少人数のタンナーにより作られた革です。 そんなタンナーで作り上げられた革は、手作業で丁寧にシボを出し、 しっかりと中まで脂分の入ったコシのある上質な革に仕上がります。 グルーバーレザーも少人数だからこそ出来る 手の込んだ製品を作り上げていきます。

トスカーナ地方でも植物鞣しの生誕地と言われるサンタクローチェ地区にある老舗タンナー、テンペスティ社で製造された、上質な革です。 なめす段階で入れる牛脂と魚脂の配合が他社とは異なり 特許を取得、エルバマットと呼ばれる独自の製法です。 また牛革の中でもっとも繊維の詰まった部位である 部分のみを使用したシングルバットで、 長方形に近い形でトリミングされているため、 ロスが少なくなる傾向があります。 オイル仕上げのため色落ちのリスクはありますが、 コシ感と艶は他にはない革です。

グルーバーレザーではへり返し(革を薄くして返す技法)をするより、 裁断面を磨き上げるコバを多く採用しています。 その理由としては、へり返しは、銀面を折り返しているので、 きれいなイメージもありますが、薄く漉いている為、 裂けてしまうと修理ができません。(へり返す方がよい場合もあります) しかし、コバを磨き上げる方は、たとえコバ面にダメージを受けても、 磨き直す事で、復活させることが出来ます。 またこのコバ磨きも、水で中から絞り上げるように固く磨き上げ、 何度も繰り返し、熱を加え、手間をかけて行くことで、 他にはない輝きを出すことが可能です。 お客様に長く使用していただきたい思いからコバ磨きを採用しています。

手縫いは、グルーバーレザーとして、力を入れている物の一つです。 手縫いの特徴はミシンと違い上糸と下糸が別々ではなく、 一本の糸から縫い上げます。 ミシンのように上糸、下糸で分かれていると、 ポケットの出し入れにより擦れることで、上糸が切れた場合、 一緒に下糸がほどけてしまいます。 しかし、手縫いの場合は、たとえ上糸が切れても、 一本の糸から上下に交差して縫い上げてので、 非常にほどけにくい仕組みになっています。 また、グルーバーレザーでは、独自の縫製により、 よりきれいな縫い目に仕上がっています。 それは、自分たちで工具を作り出し、 針一本から手を加えるといった徹底ぶりにより、仕上がったものです。

グルーバーレザーの技術の高さとして挙げられるものの一つが、 スタッズを革の中に打ち込んだ「隠しスタッズ」です。 これは、型押しの革を使用しているわけではなく、 一枚革の銀面を薄く裂き、床面にスタッズを打ち込むといった熟練の職人ならではの作業です。また、通常のスタッズをそのまま打ち込むのではなく、 高くなるように加工して打ち込まれています。 これにより、星型のスタッズが、綺麗な形で出す事が出来ます。 使い込むほど当たる部分はつやを増し、独特な表情と楽しむことが出来ます。

耐久性を考え考案されたのが、この「隠しステッチ」です。 このショートウォレットは上下の糸が表からは見えなく、 内装から見える特殊な縫製をしています。 ショートウォレットの場合どうしてもコーナー部分の糸がほつれてしまい、 ダメになる事が多くみられます。 しかしこのウォレットにはそのほつれる糸が外側にはないので、 結果より長く使っていただけるウォレットなのです。 更に両サイドの縫製は手縫いのため 安心してお使いになれるウォレットと言えます。

グルーバーレザーの名にあるように、 グルーバーレザーでは何種類ものグルーバーを使用するのですが、 グルーバーとは革を削り取る道具であり、 この道具により革の裏側を加工することで、 糸の沈み込みを可能にしています。 特にわかるのが表の手縫いの部分ですが、 糸があたらないようにしっかりと沈み込ませてあります。 これは、長年使い込むことで糸切れを防ぐことと、 独特のふくらみ感を出す狙いがあります。 この沈み込みの部分が使い込むほどあたりが出てくるので、 楽しみの一つになります。

グルーバーレザーのオリジナル技法として、ボトムワイド技法があります。 これは、仕切りの奥が広がるように作られたもので、 お札の出し入れがスムーズに行うことが出来るのが特徴です。 通常、仕切りは奥に行くにつれて狭くなり、札入れなどは、 引っ掛かりが生じてしまいます。 しかしこの技法は、仕切りの奥に工夫を加えることで、 広がりを持たせる事が可能になり、 非常に使いやすいお財布を実現させました。 お客様が長く使えるようにと考え出された技法です。